派遣元の義務と責任
派遣元(一般・特定共通)は、どんなことをする必要があるのでしょか?
特に重要なものをいくつかあげてみましょう。
労働者に明示しなければならないこと
- 派遣労働者が従事する業務内容
- 派遣労働者が従事する事業所の名称および派遣就業する日
- 派遣就業の開始および終了時刻ならびに休憩時間
- 安全および衛生に関する事項
- 派遣労働者から苦情の申出を受けた場合における当該申出を受けた苦情の処理に関する事項
- 労働者派遣契約の解除に当たって講ずる派遣労働者の雇用の安定を図るために必要な措置に関する事項
- 派遣先が派遣受け入れ期間の制限に抵触することとなる最初の日
明示する方法
書面やファクシミリ、電子メールなどで個々の派遣労働者に交付することが必要。
これら以外の方法も認められてはいるが、これらの方が、
あとあとのトラブルにはならないと考えられる。
派遣元の事業主は、労働者派遣をするときは、
その労働者派遣に係る派遣労働者の氏名などを派遣先に通知しなければならない。
派遣先へ通知すべき内容
- 派遣労働者の氏名および性別
(派遣労働者が45歳以上の場合は、その旨も必要。18歳未満の場合は、年齢も必要。) - 派遣労働者に係る社会保険および雇用保険の被保険者資格届の提出の有無
(無しの場合は、なぜないのか、具体的な内容が必要。) - 派遣労働者の派遣業の就業条件の内容がその労働者派遣に係る
労働者派遣契約の就業条件の内容と異なる場合
(例 1日8時間の就業を2人で分担するような場合を指している。)
におけるその労働者派遣の就業条件の内容
通知する方法
書面やファクシミリ、電子メールなどで個々の派遣労働者に交付することが必要。
労働者派遣契約の就業条件の組み合わせが複数で、
労働者派遣の期間が2週間を超えるときは、労働者派遣の開始後、遅滞なく、
その事項にかかる書面の交付もしくは
ファクシミリ・電子メールの送信の方法で通知とされている。
これらの方法以外も認められていますが、トラブルを防ぐには、これらの方法が無難。
派遣元責任者の選任
派遣元事業主は、派遣社員からのトラブルに対処するために
派遣元責任者を選任することが必要。
派遣元責任者は次に掲げる業務を行う。
- 派遣労働者であることの条件の明示など
- 労働条件などの明示
- 派遣先への通知
- 派遣先および派遣労働者に対する派遣停止の通知
- 派遣元管理台帳の作成、記載および保存
- 派遣労働者に対する必要な助言および指導の実施
- 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理
- 派遣先との連絡調整
- 派遣労働者の個人情報の管理に関すること
- 安全衛生に関すること
(健康診断の実施に関する事項、安全衛生教育、労働者派遣契約で定めた安全衛生に関する事項の実施状況の確認、事故などの発生した場合の内容・対応状況の確認)
派遣元責任者となる者の要件
派遣元責任者は次のいずれにも該当しない者のうちから選任しなければならない。
- 禁固以上の刑に処せられ、または労働者派遣法、労働基準法などに違反して罰金の刑に処せられ、その執行を受けることができなくなって5年を経過しない者
- 成年被後見人もしくは被保佐人または破産者で復権を得ない者
- 一般労働者派遣事業の許可を取り消されて5年を経過しない者
- 未成年者
* 一般労働者派遣事業においては、許可については、
派遣元責任者に雇用管理能力にかかる一定の基準を満たすこと
および派遣元責任者の講習を受講していることを選任の要件とする。
特定労働者派遣業については、法令上の資格能力は要求されていないが、
同様に派遣元責任者の労働関係法令の知識を有し、
雇用管理の知識や経験をもつ者を選任することが適当。
派遣元責任者の選任方法
事業所ごとに自己の雇用する労働者(個人事業主や法人の役員も可。)の中から、
専属の派遣元責任者を選任しなければならない。
派遣元労働者の数100人ごとに1人以上を選任しなければならない。
派遣元管理台帳
派遣元事業主は、派遣就業に関し、派遣元管理台帳を作成しなければならない。
内容は、次に掲げるとおり。
- 派遣労働者の氏名
- 派遣先の氏名または名称
- 派遣先の事業所の名称
- 派遣先の事業所の所在地その他派遣事業の場所
- 労働者派遣の期間および派遣就業をする日
- 始業および終業の時刻
- 従事する業務の種類
- 派遣労働者から申出を受けた苦情の処理に関する事項
- 紹介予定派遣にかかる派遣労働者については、その紹介予定派遣に関する事項
- 派遣元責任者および派遣先責任者に関する事項
- 派遣先が派遣就業をする日以外に派遣就業できる日があるときはその日、
延長できる時間があるときはその時間数 - 派遣先から通知を受けた派遣就業の実績が予定していた就業の時間と異なるときは
その実績の内容 - 派遣受け入れ期間の制限を受けない業務について行う労働者派遣に関する事項
- 派遣労働者にかかる社会保険・雇用保険の被保険者資格取得届の提出の有無
(無しの場合は、理由を具体的に書くこと。)
* 派遣元管理台帳の作成は、事業所ごとに作らなければならない。
一般派遣元事業主は、派遣労働者を常時雇用する者とそれ以外の者に分けて作成する。
3年間の保存が必要。
その他派遣元事業主が守らねばならないこと
- 派遣元事業主は、派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けたなら、
派遣受け入れ期間の制限に抵触することとなる場合には、
抵触することとなる最初の日以降継続して労働者派遣を行ってはならない。 - 派遣元事業主は、派遣先が
派遣受け入れ期間の制限に抵触することとなる最初の日の1ヶ月前から前日までの間に、当該受け入れ期間の制限に抵触する日以降継続して労働者派遣を行わない旨を、派遣先および派遣労働者に通知しなければならない。 - 労働者派遣契約の際、派遣労働者の性別を記載したり、性別や年齢を理由とする差別的労働者派遣を行ってはいけない。
- 派遣元事業主は、派遣契約の期間の満了前に
派遣労働者の責められる事由でないことで、契約解除が行われたときは、
労働者派遣契約に係る派遣先と連携して
派遣労働者の新たな就業の機会を見つけてあげること、
また派遣労働者解雇の場合は、
派遣元事業主は、労働基準法などに基づく責任を果たすことが重要。 - 派遣元事業主は、派遣労働者の情報を
正確に常に新しいものとしておくこと、
派遣労働者からの求めに応じて、内容を説明しなければならないこと、
またみだりに他人に知られないよう厳重な管理を行うことが必要。 - 6ヶ月を超えて同一の派遣労働者の労働者派遣を行ってはいけない。
- 派遣先が、職業紹介を希望しなかった場合
または派遣労働者を雇用しなかった場合は、派遣労働者の求めに応じ、
派遣先に対し、それぞれの理由を派遣労働者に対して、
書面、ファクシミリまたは電子メールにより明示することが必要。
長倉社会保険労務士事務所